酸素採集

まぶたの裏側

maguro

週末に築地に行ったら、閉まってる店の店先に大人のうさぎがいた。
眠るでもなく震えるでもなく、ただそこにいた。
ごにょごにょ声をかけながら撫でてみたところ、想像以上の柔らかさにギョッとなった。(私たちは4人でいたからギョッギョッギョッギョ。)
あまりにも繊細であたたかくて、撫でている指を制御しないとどこまでも毛の奥に沈んでいきそうで不安になる。
私がギョッとしたのは予想外の柔らかさだけではなくて、私が持ってる兎の毛皮を思い出したから。以前ユザワヤの特売で買った兎の毛皮と同じ柔らかさだったから、「ワアッ!」っとなったのだ。まあ、当たり前なんだけれど。

築地には、魚屋前の路上で行われたコンテンポラリー・ダンスを見にいってきた。妖怪のような足を縛られた女が棚からボタッと落ちたり裸の女性が泣きながら鯛を地面に叩きつけたりしていた。(鱗がたくさん飛んだのよ。)
Frantic Beauty - action installation-

夜は、図書館で借りた泉鏡花の『高野聖』を読む。

諸国行脚のお坊さんが道に迷って、奇妙で妖しい女と白痴の子どもが住む民家にたどり着いて一夜を過ごす話。
言葉のリズムがとても軽快なのと、文章に体言止め(?)がとても多いのが新鮮だった。語りの上手な人(寅さんみたいな人とか)が調子よく聞かせてくれているような感じ。
あ、というか、小説自体が「語り聞かせてくれている」形式をとっているからなのか。
文章のリズムと、畳み掛けるような自然の描写がとても綺麗。

ましてこの水上は、昨日独屋(ひとつや)の婦人(おんな)と水を浴びた処と思うと、気の所為(せい)かその女滝(めだき)の中に絵のようなかの婦人(おんな)の姿が歴々(ありあり)、と浮いて出ると巻き込まれて、沈んだと思うとまた浮いて、千筋(ちすじ)に乱るる水とともにその膚(はだえ)が粉に砕けて、花片(はなびら)が散り込むような。あなやと思うとさらに、もとの顔も、胸も、乳も、手足もまったき姿となって、浮いつ沈みつ、ぱッと刻まれ、あッと見る間にまたあらわれる。私(わし)は耐(たま)らず真逆(まッさかさま)に滝の中へ飛び込んで、女滝を確(しか)と抱いたとまで思った。気がつくと男滝の方はどうどうと地響き打たせて、山彦(やまびこ)を呼んでとどろいて流れている、ああその力をもってなぜ救わぬ、儘(まま)よ!

これには私(わし!)も溺れた。
あぁ、川の流れに浮かび上がった女の人の印象が砕けては四方に散っていく感じ、その下からまた浮かんでは散っていく様子、ったらない。
危険、危険。


写真は、4日間悩んだ末結局買ってしまったネックレス。毛深い兎の尾は真珠。
またしても惨敗。

2007年04月25日 |  Comments (2)

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